ひな祭りの食べ物と聞いたら、何を思い浮かべますか?
ちらし寿司、はまぐりのお吸い物、菱餅、ひなあられ、といろいろありますが、
「おこしもち」をご存じでしょうか?(呼び名は「おしもち」「おしもん」「おこしもの」「おこしもん」と、いろいろ)
私は小さい時から、ひな祭りには「おこしもち」を作るのが恒例行事になっていましたので、
大人になってから “「おこしもち」は愛知の郷土料理で、他府県では作られていない” ことを知った時は、正直びっくりしました。
小さい頃は、姉や妹と一緒にワイワイ言いながら作ることが本当に楽しくて、かけがえのない時間だったな~と懐かしく思い出されます。
米粉にお湯を加えて練った生地を、色粉を使って着色し、専用の木型で形作り、最後に蒸して出来上がり。
熱い米粉の生地をこねるのは、いつも母の役目でした。
生地がこね上がったら、姉妹三人で(待ってました!)とばかりに、生地をちぎって木型に押し込んでいきます。
いくつか作っているうちに、だんだん木型を使うことなしに、粘土工作のように好きな形を作っては
「ここは緑で、こっちは桃色にする~」と思い思いの色付けをし始めるのも、毎年のことでした。
「おこしもち」は専用の木型が無ければ、生地を平らに伸ばしてクッキー型などで抜いてもいいですし、もちろん自由に形作ればいいでのす。
作って楽しい、食べて美味しい「おこしもち」作りを是非、体験してみてください。
ひな祭りの食べ物「おこしもち」材料と道具について

米粉 500g
熱湯 400~450㏄(硬さを見ながら加減して下さい。)
色粉 食紅でもいいですが、私は天然の色粉を使います
桃色は紫芋パウダー、緑色は抹茶、黄色は南瓜パウダー を適量
(野菜パウダーは、東急ハンズや AMAZONなどで買えます。
余ったパウダーは他の料理にも使えますし、離乳食に使ってみえる人もいるかもしれませんね。)
野菜パウダーを使った部分は、ほんのりと野菜の甘みや香りがつきます。
木型 無ければクッキー型ほか、お好きなように。
私が持っている木型は、母から譲り受けたモノ。
いつかは娘に譲ろうと思っています。
ひな祭りの食べ物「おこしもち」の作り方、食べ方


①米粉に熱湯400ccを入れて、熱いので箸で混ぜます。
(熱いからと言って、最初からぬるいお湯を入れるのではなく、必ず熱いお湯を入れて
混ぜながら冷ましていきましょう。)
②生地が触れるくらいの温度まで冷めてきたら、手でこねます。
粉っぽさが残っていたら、全体がまとまって耳たぶくらいの硬さになるまで、加減を見ながら少しずつお湯を足し、程よい硬さになるまで よくこねます。


③こねた生地のうち、一掴み ちぎって紫芋パウダー(食紅の赤)を混ぜ、桃色の生地を作ります。
緑色と黄色も同様に作ります。
(食紅を使う場合は、極々少量を混ぜ込みます)
この時に出来た色付き生地は、蒸すとより色濃くなるので、そこを考えて薄めに色を入れましょう。
作った色付き生地は小さく丸めておきます。
④色付き生地を、ラップを敷いた木型に好きなように置きます


⑤上から白い生地を詰めて形作ったら、木型から外します。
⑥オーブンペーパーを敷いた蒸し器に入れて、強火で10~15分蒸します。
蒸し上がると、生地がツヤっとしてきますよ。
野菜パウダーを使っているので、ほんのり抹茶や野菜の香りも感じます。
我が家では、蒸したての柔らかい「おこしもち」に砂糖か砂糖醤油をつけて食べます。
普通のお餅の様に、冷凍保存も出来るので、余った分は一つずつラップに包んで冷凍しておきましょう。
冷凍したモノを食べる時は、これまた普通のお餅と一緒です。
レンジで解凍してからトースターなどで焼いて、砂糖醤油などをつけて食べましょう。
名古屋を中心とした地域では 甘い赤味噌だれが好まれるのですが、この味噌だれを塗って焼くのも美味しいです。
(味噌だれが少し焦げたくらいが最高です)
ひな祭りの食べ物「おこしもち」4つの色に込められた意味

ところで、「おこしもち」に限らず、ひなあられ等 “ひな祭りカラー” の4色に意味はあるのでしょうか?
実は、桃色、緑色、黄色、白色の4色は、四季を表しています。
桃色は、春に咲く桃の花の色。
緑色は、夏の新緑の色。
黄色は、秋の紅葉の色。
白色は、冬の雪の色。
4色を使って四季を表すことによって、女の子が “一年間健やかに、無事に成長できますように” という願いが込められています。
みんなで「おこしもち」を作って、ひな祭りを楽しみましょう

伝統的な木型で形作るのもいいですが、自由に好きな形で作れること、綺麗な色付けが出来ること、
作った後に食べられること、などから「おこしもち」は特に子供と一緒に作ると喜ばれます。
女の子も男の子も一緒になって、楽しみましょう。
もっと言えば、女の子のためだけのひな祭りではなく、”春の行事”として老若男女みんなで楽しめるといいですね。
音楽だったり、香りだったり、記憶と結びついているモノって色々ありますが、食べ物もその仲間に入るでしょう。
食べ物そのものの味もそうですが、楽しく手作りする思い出は心に深く残ります。
贅沢ではなくても、ささやかながらも季節の行事を楽しむことを教えてくれた母(まだ元気に生きています)には感謝しています。