我が家の三徳包丁は、「庖丁工房タダフサ」からやってきました。
新潟県三条市にある「庖丁工房タダフサ」は、私がいつか訪れてみたい場所の1つです。
一時期はパン切り包丁の注文が3年待ちになっていたほどの人気ブランド。
1600年中頃から栄えてきたという鍛冶の町で丁寧に作られた包丁は、一生モノと呼ぶのに相応しい1本です。
タダフサ 包丁 - 農村で始まった鍛冶産業から生まれました

新潟県三条市は、岐阜県関市、大阪府堺市に並ぶ日本の三大刃物産地の1つです。
度重なる川の氾濫に苦しんでいた農村の人々が、副業として始めた和釘作りがきっかけとなり、
中世の頃から鎌などの農具が作られ始めて、次第に鍛冶職人が集まる地域となりました。
その後は農具だけでなく、包丁や大工道具など様々な刃物が作られるようになりました。
鍛冶職人さんの気持ちが伝わる - タダフサ 包丁

購入時、こんな可愛い箱に入っています。
鍛冶職人さんが使う「ヤットコ」がブランドマークになっていて、可愛いマークを見ただけで気分が揚がります。


箱の中には、包丁と一緒に「庖丁問診表」が入っています。
「庖丁工房タダフサ」では、長く愛用してもらおうと、研ぎ直しや修理を受け付けています。
依頼の際は「庖丁問診表」に必要事項を記入し、包丁と一緒にこの箱に入れて「庖丁工房タダフサ」へ送り返します。
という訳で、何かあった時に使うので、この箱は捨ててはなりません。
研ぎ直し/修理の「依頼書」とでも書いてあればスルーしてしまいますが、「問診表」と書かれているのに、ほっこりします。
「問診表」という言葉選びから、タダフサの職人さんの包丁に対する気持ちがよく伝わってきます。
創業以来、製造の工程全てを手作業で行っているという こだわりようですので、包丁を我が子のように思っているのでしょう。
注文が3年待ちになっても、包丁1本1本に妥協することなく向き合う姿勢を決して崩さないところに、確固たるポリシーを感じます。
タダフサ 包丁 – 素材は?

私が愛用している包丁は「万能170mm三徳」で、肉、魚だろうが野菜だろうが大体これ1本でいけるやつです。
素材は、オールステンレスではなく、ステンレスと鋼(SLD鋼)の3層構造。
ステンレスは錆びにくくて手入れがしやすいのですが、切れ味という点では鋼にかないません。
この三徳包丁は、錆びが気になる表面はステンレス、中心の切れ刃は鋼となっていて、ステンレスと鋼の良いとこ取りがされています。
SLD鋼は比較的錆びにくいようですが、錆びないというわけではありません。
オールステンレスの包丁よりは多少気を使って、使った後は早めに洗って水気を拭くようにはしています。
細かい部分ですが、ハンドル部分とのつなぎ目部分が洗いやすく、清潔に保ちやすいところも気に入っています。

ナチュラルな色味の木製ハンドルは、握った時、手にしっくりと馴染みます。
ハンドルの木は、特許を取得している 「抗菌炭化木」 が使われています。
「抗菌炭化木」とは、木を燻製状態にして、炭になる一歩手前の状態にした木材だそう。
例え菌が付着しても、栄養分となる水分や栄養がほとんどないので、菌が繁殖出来なくなって死滅してしまうという不思議な木材です。
調理道具に使うには、ぴったりの素材ですね。清潔に保てるのが、なによりです。
タダフサ 包丁の仕事ぶり。切れ味は間違いなし

素材、デザインとも大満足のタダフサ三徳包丁ですが、一番大切な切れ味はどうでしょうか?
包丁の切れ味を試すのに、よく使われるのがトマトですよね。
トマトのスライスも、スパスパと本当に気持ちよく切れます。

“包丁の切れ味で料理の味が変わる” というのは周知の事実かもしれませんが、包丁研ぎ教室の先生からも同様のことを聞きました。
包丁研ぎの1日体験教室に参加したことがあるのですが、刃物研ぎ専門店を営んでみえる先生は、元々はシェフだったそうで、その言葉には説得力がありました。
「玉ねぎのみじん切りを炒めてみて下さい。切れ味の悪い包丁で切った場合、玉ねぎから余分な水分が出て、べちゃーっと仕上がります。
切れ味のいい包丁で切った場合は、よく炒めても玉ねぎのシャキシャキ感が残っていて、美味しいですよ」
タダフサの包丁で切った玉ねぎのみじん切りは、炒めても 程よくシャキシャキした食感が残っています。
包丁で料理の出来が変わる、1つのいい例ですね。
料理が楽しくなります - タダフサ 包丁

包丁は「道具」という意味では、よく切れて手入れがしやすいという条件さえ揃っていればいいのでしょうが、
毎日何度となく使うモノなので、デザインもとても大切です。
持ち手まで金属で出来ているクールな印象の包丁、いかにも高級そうなダマスカス包丁も素敵ですが、
シンプル且つナチュラルなタダフサの包丁は、私にとっては二重丸◎
刃に刻まれた「ヤットコ」マークや、ハンドルに使われている木の質感、収納箱から問診表まで、文句のつけようがないほど、気に入っています。
これからも刃研ぎをしつつ、大切に使おうと思います。